石川有三
中国国家地震局の招待で、1月に北京で開催された「1993年 Annual Conference on Siesmic Activity Tendency」に参加した。この会議は、中国語では「19**年地震趨勢会商会」と呼び、過去の一年間の地震活動、予知、前兆現象の総括をし、次の一年間の地震活動の予測を取りまとめる最大の会議である。簡単に言えば、年一度の地震予知連全体会議とも言える。この会議は1970年代から始まり、地震予知に関しては最大規模で、最も重要な会議である。ただ、中国の予算は旧暦で執行されるので1月に年度末会議を行うことになる。この会議に、外国人の参加が始まったのは1990年の会議からで、1990年は旧ソ連から2人、1991年は旧ソ連1人(但し、会議に遅れて訪中),EC(代表でイタリア)1人、米国1人、1992年はフランス2人、ロシア1人、米国2人であった。今回、私がこの会議に出席したのは、日本から初めての参加となった。これまで、私もこの会議の存在はいろいろな報告書の中で知っており、非常に興味を持って来た。今回、初めて参加した印象は、会議の内容などを日本の地震予知関係者に紹介することは有意義と思えたので、原則非公開ではあるが簡単に会議の日程と内容を紹介する。会場は、国家地震局地球物理研究所で行われた。
1993年度全国地震趨勢会商会(地震活動検討会)の日程
5日(火) 検討会用ポスター掲示
夜 各準備会
6日(水) 全体会議(司会 陳 副局長)
方樟順 国家地震局長挨拶
1993年地震趨勢総合報告(高 旭分析予報センター研究室長)
ポスターと企業展示の見学
午後 地震構造と危険区の判定(高 維明)
全地球地震活動の趨勢と中国への影響(許 紹燮教授)
周辺国家の地震活動の影響(丁 鑑海分析予報センター研究室長)
夜 懇親会、ポスター自由見学
7日(木) 東部グループ分科会
担当:朱 伝鎭地球物理研究所副所長、羅蘭格
連絡員:高 旭研究室長
西部グループ分科会
担当:陸 遠忠地殻応力研究所長、韓 渭賓
連絡員:丁 鑑海研究室長
夜 懇親会、ポスター自由見学
8日(金) 7日と同じ
夜 各グループの召集者、連絡員、専門家グループの会議
1993年全国検討意見の取りまとめ
地震出版社主催談話会
9日(土) 日本の地震予知の概観ほか(石川有三)
ロシアの地震予知(朱 伝鎭地球物理研究所副所長)
専門家グループの各機関への意見(張国民分析予報センター副所長)
「地震予知奨励基金」の連絡事項
賛助機関代表の挨拶
分析予報センター主任会議
専門家グループ代表の「全国検討会見解」
午後 1993年度全国地震趨勢検討意見の宣言(羅 灼礼分析予報センター所長)
1992年地震監視・観測・予報事業のまとめ(孫 其政地震局科技部長)
表彰
陳 章立国家地震局副局長のまとめ
夜 懇親会、ポスター自由見学
10日(日) 散会
1991年度全国地震趨勢総合報告(高旭研究室長が行った報告の1991年度版資料の目次)
1.はじめに
2.1990年地震実況と予報結果
(1) 1990年全地球地震活動
図1:1990年全地球 Ms 7以上の震央分布
(2) 1990年中国の地震活動状況
図2:1990年中国 Ms 5以上の震央分布
(3) 1990年の地震趨勢予測に対する結果の検討
1. 1990年の地震活動の全体的趨勢判断に対する結果の分析
2. 1990年の地震重点監視地域に対する予測の結果の分析
図3:1990年重点監視地区と大陸地域の Ms 5以上の地震
図4:中国地震前兆監視能力図(M6〜7に対して)
3.1991年度及びやや長期の中国の地震活動趨勢分析
(1) 中国大陸地域の最近数年間の地震活動指標分析からみると既に活動期に入っている可 能性がある。
(2) 90年代のM7以上の大地震の発生時間分布の初歩的予測
図5:中国大陸部の各サイクルの大地震の累計頻度曲線
(3) 1991年に M7 の地震が発生する可能性の推定
(4) 1991年の強地震活動の主な地域の分析
4.1990年に観測した各種異常現象の状況と総合分析
(1) 異常状況
1. 地震活動の異常
図6:1990年全国地震活動の異常分布図
2. 前兆観測資料の異常の状況
3. 環境因子の分析
図7a:1990年定点観測での前兆異常分布図
図7b:1990年流動観測での前兆異常分布図
(2)地震活動と各種前兆異常に対する総合分析
1. 1991年地震危険区予測に対するパターン認識の方法
2. 1991年及びやや長期の地震活動趨勢予測の確率図
図8:パターン認識による1991年地震危険地区の識別結果
図9:1991年及びやや長期の地震活動中期趨勢確率図
3.1991年地震趨勢予測に対するエキスパートシステム(ESCEP)の結果
図10:1991年 Ms 5以上の地震の確率分布図
図11:1991年 Ms 6以上の地震の確率分布図
図12:1991年 Ms 6以上の地震の確率分布図
5.1991年あるいはやや長期の全国地震危険地区予測の初歩的結果
図13:各機関が設定した1991年の危険地区の総合図
図14:ここ1,2年以内に中・強以上の破壊性地震が発生する危険区の範囲
まとめ
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