S-net、DONET2等による震源データへの影響 図0:2020年9月1日から気象庁の一元化震源決定処理に用いられるようになったS-netとDONET2(南海トラフ)等の観測点分布。 観測点密度を考慮してS-netは全観測点、DONET2は一部の観測点を活用。 また、走時表が、日本海溝付近と南海トラフ付近に新しい表がそれぞれ導入されたほか、 震源決定法も観測点高度を入れるように改良された(上野ほか,2019)。 S-netの解説ページ DONETの解説ページ 上野ほか,2019 図1:2020年1月1日から2021年1月31日まで(日本時間)のフラグK,A,kの気象庁一元化暫定震源(上)とHi-net自動震源(下)。 深さ100kmまで、Mすべての震源。2020年9月1日からS-netとDONET2のデータが一元化の震源決定処理に用いられるようになった。海溝軸付近は気象庁一元化震源では沢山決まるようになったが、Hi-net自動震源では余り決まっていない。 図2:図1の枠内震源の深さの時変化図。上が気象庁、下がHi-net。 S-netのデータが使われるようになり、気象庁震源だけが9月以降は8月までより浅くなっている。 したがって、これは観測網の変更による見かけ上の変化だが、事実に近づいている。 図3:図1の枠内震源のマグニチュードの時間変化図。上が気象庁、下がHi-net。 気象庁のM4以上が少し減っているようにも見える。 図4:図1の枠内震源の時空図。上が気象庁、下がHi-net。各図の上側(B)が北側。 気象庁震源だけが9月からパターンが変わった。 特に9月初めから半ばまで中央部より北側では検知能力が低下していたように見える。 これも観測網の変更による見かけ上の変化と思われる。 図5:図1の枠内震源の月別地震数の変化図。上が気象庁、下がHi-net。 Hi-netの震源数は減少傾向にあるが、気象庁の震源数は9月からステップ的に増加しており、 S-net観測点の導入によりこの地域の検知能力が向上したと思われる。 図6:2019年1月1日から2020年8月31日まで(日本時間、S-net導入前)のフラグK,A,kの気象庁一元化暫定震源。 上図は震央分布図。+印はS-net観測点。下図は、上図の枠内の断面図。縦軸が水平距離の2倍。 太平洋プレートの浅い部分では震源分布が幅広くなっていて、あまりうまく震源が決まっていない。 さらに海溝軸付近では、深さ50qより深く決まっている震源が多く、沖に向かって深くなっていて、事実とは異なる。 図7:2020年9月1日から2021年1月31日まで(日本時間、S-net導入後)のフラグK,A,kの気象庁一元化暫定震源。 上図は震央分布図。+印はS-net観測点。下図は、上図の枠内の断面図。縦軸が水平距離の2倍。 太平洋プレートの浅い部分では震源分布がまちまって直線的になっていてうまく震源が決まっている。 海溝軸付近では、ほとんどの震源が深さ50qより浅く決まっている。 ただ、その沖の方では深くなっていて、この付近の震源位置がよくない。 図8:2020年1月1日から2021年1月31日まで(日本時間)のフラグK,A,kの気象庁一元化暫定震源。 深さ100kmまで、Mすべての震源。この地域では9月から様相が激変している。 以下は気象庁一元化震源の図のみ。 図9:図8の枠内震源の深さの時変化図。 30kmより浅い震源が激増し、誤差のため誤って60kmより深く決まる震源が無くなった。 図10:図8の枠内震源のマグニチュードの時間変化図。M2以下の震源が多数決まるようになった。 図11:図8の枠内震源の時空間図。図の上側(B)が北側。 全域にわたって検知能力が向上している。 図12:図8の枠内震源の月別地震数の変化図。9月から震源決定される震源数が5倍くらいに増えた。 図13:2020年1月1日から2021年1月31日まで(日本時間)のフラグK,A,kの気象庁一元化暫定震源。 海域での浅い震源の変化を見るため深さ10km20kmまで、Mすべての震源。この地域では9月から様相が激変している。 図14:図13の枠内震源の深さの時変化図。縦軸は10kmから20km。 9月から誤差のため誤って深く決まっていた震源が減リ、20kmより浅い震源が激増した。 図15:図13の枠内震源の時空間図。図の上側(B)が北側。 図16:2020年1月1日から2021年1月31日まで(日本時間)のフラグK,A,kの気象庁一元化暫定震源(上)とHi-net自動震源(下)。 深さ60kmまで、Mすべての震源。海域の+印は、DONET2の観測点で気象庁が震源決定に利用している観測点。 図17:図16の枠内震源の深さの時間変化図。上が気象庁、下がHi-net。 9月からDONET2のデータが使われるようになり、 気象庁震源だけが9月以降は8月までより10kmより浅い震源が少し増えた。 図18:図16の枠内震源のマグニチュードの時間変化図。上が気象庁、下がHi-net。 あまり変化は見られない。 図19:図16の枠内震源の月別地震数の変化図。上が気象庁、下がHi-net。 気象庁の震源数は9月から増加したようには見えない。 図20:図16の枠内震源を直線ABに投影した断面図。上が気象庁、下がHi-net。 左側(A)が北側。盾が横の2倍に伸びている。 気象庁震源のほうが沖合に向かって系統的な垂れ下がりが見える、 Hi-netのほうがフィリピン海プレートの沈み込みがきれいに見える。 図21:図16の枠内震源の深さの時間変化図(気象庁)。2018年1月1日から2021年1月31日まで。 2020年9月からDONET2のデータが使われるようになり、 9月以降は深さ10kmより浅い震源が少し増えた。図15と比べると期間を長くすると変化がわかりやすい。 戻る |