紀伊水道の地震(2021/12/3 M5.4)

(2021/12/5 更新)


図1:気象庁一元化震源データの2021年12月3日の24時間の震源分布。 深さ50kmまでM0以上の震源分布です。 今回の地震の震源時間は、12月3日09:28。 余震はほとんど見られない。震源が浅い地震では珍しい。


図2:図1の枠内の震源のマグニチュードと時間分布図。縦軸がマグニチュード。 これを見ると余震はたった3個しか起きておらず、最大でもM2.5と異常に小さい。


図3:気象庁震源カタログから1948年6月15日と16日に起きた震源分布。深さ50qまで、Mすべて。 今回の震源位置に近いところで1948年6月15日にM6.7地震が起きたように見られますが、 その余震は内陸に分布しています。 しかし、M6.7の本震だけ陸域ではなく紀伊水道になっているので、 津村さんが「この本震位置がおかしい、内陸であるはずだ」と指摘されたので、調べてみると確かに内陸と考えた方が正しいようです。 黒色×印の位置は、1948年6月の「気象要覧」に記載された位置です。
「気象要覧」には下記のように記載されています。
気象要覧1948年6月
15日20時44分頃の日高川上流域の地震〔顕〕
(東経135.5°、北緯33.8°、深さ極浅 )東は小名浜、西は宮崎に渡る範囲に於いて有感で、震央より約100 kmの範囲内では震度IVであった。震央付近の和歌山県、奈良県の南部では小被害があったが、特に和歌山県西牟礼地方では家屋の全潰57戸、半潰199戸を生じた。その他地辷り、鉄道、道路、堤防等の破壊が各所にあった。
震度;V:(橿原区内:荒神岳、川上)、(尾鷲区内:入鹿、鵜殿、柏崎)、(神戸区内:高砂)
IV 以下省略。
この震度Vの地名を見る限り、当時推定された震源位置の方が現在の気象庁震源カタログの位置より事実に近いと考えられます。 南海トラフの巨大地震の発生が危惧されている状態で、過去の震源の情報が重要なので、早急な修正が望まれます。

12月3日山梨県東部の地震

図4:気象庁一元化震源データの2021年12月3日の深さ50kmまで、M0以上の震源分布です。 今回の地震の震源時間は、12月3日06:37。 本震が北側で、前震M4.1が南側でおきている。


図5:図4の枠内の震源のマグニチュードと時間分布図。縦軸がマグニチュード。 余震はある程度おきているが、つぶの大きな余震は見られない。震源が浅い地震では珍しい。


図6:図4の枠内の震源の時空間分布図。縦軸の上が北側。

過去に震源位置が間違っている朝鮮半島の地震については、下記を参考にして下さい。
地震観測点が少ない時代の震源決定の問題―1936年慶尚南道智異山(Chirisan)地震を例にして―
情報地質,2018 年 29 巻 4 号 p. 137-140. https://doi.org/10.6010/geoinformatics.29.4_137



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