ア カ サ タ ナ
ハ マ ヤ ラ ワ
ABC、、、(アルファベット)
ア 気象庁地震関係文献集
アスペリティ
アムールプレート
ウッド・アンダーソン地震計(国立科学博物館地震資料室のページ)
液状化現象
大地震は「おおじしん」か「だいじしん」か?
大町地震(大正)(1918年)
応力場
カ
海底地震計
火山と地震
ガル
韓国の地震(朝鮮半島の地震)
巨大地震
緊急地震速報
検潮所
神戸の地震(兵庫県南部地震,1995年)
国際地震センター(ISC)
国際地震集報/輯報(ISS)
国際津波情報センター(ITIC)
固着域
サ
自己浮上式海底地震計
地震
地震観測
地震群と震源群
地震前兆現象
地震帯と震源帯
地震の間(ま)
地震波
地震発生サイクル
地震名
地震列と震源列
10倍M
震央
震源(震源地)
震源域
震源核
震源過程解析
震源群と地震群
震源列と地震列
震源帯と地震帯
「震源時」と「発震時」
震源断層
震度
水圧破砕法
スマトラ地震
世界標準地震計観測網(WWSSN)
堰止め湖
善光寺地震(1847年)
相似地震
速度構造
タ
大正大町地震(1918年)
太平洋津波警報センター(PTWC)
大本営予定地跡
断層ズレの型:正断層、逆断層、横ズレ断層
断層破砕帯
中越地震(2004年)
朝鮮半島の地震(韓国の地震)
津波
低周波地震
低周波微動
ナ
長野県西部地震(1984年)
長沼地震(1941年)
ハ
発震機構(メカニズム)
「発震時」と「震源時」
非地震性滑り
歪(ひずみ)の蓄積・開放
兵庫県南部地震(1995年)
古間(ふるま)村の地震(1943年)
プレート
米国地質調査所(USGS)
米国地震情報センター(NEIC)
米国沿岸測地局(USCGS)
米国海洋大気庁(NOAA)
変換波
ボアホール
本震
マ
マグニチュード(M)
松代群発地震(1965年〜)
椋平虹(むくひらにじ)
命名地震−−>地震名
メカニズム(発震機構)
免震構造(めんしんこうぞう)
面積歪(めんせきひずみ)
ヤ
有感地震
余震
ラ
ワ
ABC、、、
ASRO
BUD
CANDIS
CDSN
CMT解析
CTBTO
DELP(デルプ)
EDR(地震データレポート)
FDSN
GBRN
GDP
GEONET(GPS連続観測システム)
GEOSCOPE
GPS
GTSN
HGLP
IASPEI(イアスペ)
IAVSEI(イァブセィ)
ICG/ITSU
ICG/PTWS
IGY
IOC(国際海洋委員会)
IRIS(アイリス)
ISC(国際地震センター)
ISS(国際地震集報/輯報)
ITIC(国際津波情報センター)
IUGG
K
LISS(リス)
M(マグニチュード)
MEDNET
NEIC
NOAA(ノア)(米国海洋大気庁)
NSF
ORFEUS
PDE
PS22
PTWC(太平洋津波警報センター)
QED(緊急震源速報)
S波異方性
SAR(サー)
SLR
SRO
STS地震計
UMP
USCGS(米国沿岸測地局)
USGS(米国地質調査所)
VLBI
WWSSN(世界標準地震計観測網)
- アスペリティ
-
プレート境界や断層面において固着の強さが特に大きい領域のこと。この領域が地震時にすべると、すべり量が断層面内のまわりの部分よりも大きくなり、大振幅の地震波を放出します。
- アムールプレート
-
ユーラシアプレートの中に提案されたマイクロプレートで、バイカル湖付近を北西縁、スタノボイ山脈を北縁とし、サハリンから日本海東縁を通り中部日本を東縁とするプレート。南の境界線がはっきりしていません。
- 液状化現象(えきじょうかげんしょう)
-
水を含む土壌が強い地震動により揺すられて間隙水圧の上昇により粒子間の結合が切れ、地盤が液体のように振るまう現象。噴砂現象や側方流動を生じることもあります。砂質地盤、特に埋立地で起こりやすく、重大な地質災害の原因となっています。液状化対策は都市防災の重要な課題となっています。県内では、松代群発地震でも液状化現象が見られました。
- 応力場
-
物体に外から力をかけて変形させると、物体内部では外力とつりあうような力(応力)が発生します。この力は空間の各点で考えられるものですが、それを一まとめ(場とよぶ)に見ていることを強調するとき、特に応力場といいます。
- 大地震は「おおじしん」か、「だいじしん」か?
-
読売新聞で1997年8月31日から3回連載された石山茂利夫氏による【今様こくご辞書】に「大地震」の読み方が取り上げられました。そこでは、最近は「オオジシン」派が少数だが、少し前までは「オオジシン」が常用されたことや、漢語の頭に付く「大」は「ダイ」と読み、和語の頭なら「オオ」と読むが、「大地震」、「大火事」など漢語であるのに、「オオ」と読む例外であることが紹介されています。近年、「ダイ」と読む人が増えてきた背景には、微小地震(びしょうじしん)とか小地震(しょうじしん)などの漢語読みの関連語が増えてきたこと、大震災も「ダイシンサイ」と読まれるなどがあると思われます。
- 海底地震計
-
地下の岩石のP波速度などが厳密に三次元的に分かっていないため、震源の位置を正確に決めるためには震源の近くで地震観測することが重要です。日本のように震源が海域に多く分布する場合には、陸上の地震観測点だけでは正確な震源位置を求めるのは困難です。そのため、海底に設置して観測出来る海底地震計が開発されました。この海底地震計にはケーブル式海底地震計と自己浮上式海底地震計があります。
ケーブル式海底地震計は、陸上から海底の観測点までケーブルで結び、24時間連続的に時間遅れ無くデータを入手出来ます。気象庁では御前崎の沖に4点設置し、東海地震の監視に役立てているのは、この方式です。これは、即時的に使えるため大変便利ですが、非常に高価です。
一方、自己浮上式海底地震計は、一定期間、目的の海域に投入し、その後回収してデータを処理するので、即時的処理に向かないのと、観測期間がバッテリー容量などで制約されます。しかし、比較的安価なため多点の観測が可能です。
- 火山と地震
-
火山の噴火が地震によって引き起こされることがあります。明確なメカニズムはまだ解明されていませんが、おおよそは、次のように考えられます。巨大な地震が発生すると周辺域まで応力状態が変化します。そのため火山付近の応力状態も変わり、場所によって噴火しやすい状態が起き、それによって噴火に近い状態にあった火山が噴火します。1707年の宝永地震(M8.5)が起きて49日後に富士山が噴火しました。その時の火口が宝永火口と呼ばれ今もはっきり残っています。また、1891年濃尾地震(M8.0)の2日後には浅間山が噴火しました。この他にも1990年フィリピン地震(M7.8)の11ヶ月後にピナツボ火山が大噴火しました。2004年スマトラ地震(M9.4)の場合は、3ヶ月後にニアス島地震(M8.7)が起き、その15日後にタラン火山が噴火しました。
2004年末のスマトラ地震は、3枚の長方形で示しています。
- ガル
-
加速度の単位(p/s2)。地震動の強さを表すのに使われることが多い。地表での重力は980ガルで、地震動による上下方向の加速度がこれを越えれば、床等に固定されていない物は飛び上がることになります。震度との対応は、例えば震度4が25〜80ガル程度に対応しているとされていますが、震度は加速度以外の要因もあるため厳密には一対一の対応ではありません。しかし、地震動の加速度は、耐震設計の基礎資料ですから、大地震の加速度を測定するため加速度式強震計が各地に設置されています。最近は地震動で大きな加速度が出ていることが分かって来ました。上下成分が、重力加速度を越えると地上に置かれていた物が飛んでしまいます。1984年長野県西部地震や、2000年鳥取県西部地震、2004年中越地震でも物が飛んだ跡が報告されています。
- 巨大地震(きょだいじしん)
-
特に大規模な地震で、通常主にマグニチュード8前後およびそれ以上の地震をいいます。そのほとんどがプレート境界で発生し、日本付近では海溝から陸側の地域で発生する。例として1923年関東地震(マグニチュード7.9)、1946年南海道地震(8.1)、1968年十勝沖地震(7.9)、1983年北海道南西沖地震(7.8)、2003年十勝沖地震(8.1)です。もちろん、2004年スマトラ地震(9.0)も挙げられます。
ちなみに20世紀以降でモーメント・マグニチュード(Mw)の大きい順は下記のようになります。
1)1960年チリ地震 9.5
2)1964年アラスカ地震 9.2
3)1957年アリューシャン地震 9.1
4)1952年カムチャッカ地震 9.0
2004年スマトラ・アンダマン地震 9.0 -> 9.2という説もあり、この場合、2番目になります
6)1906年エクアドル地震 8.8
7)1965年アリューシャン地震 8.7
2005年スマトラ・ニアス島地震 8.7
9)1950年アッサム地震 8.6
10)1922年アタカマ地震(チリ) 8.5
1938年バンダ海地震 8.5
1963年ウルップ島沖地震 8.5
日本 Mw Mj
1)1933年三陸沖地震 8.4 8.1
2)1994年北海道東方沖地震 8.3 8.2
3)1958年エトロフ島沖地震 8.3 8.1
4)1968年十勝沖地震 8.2 7.9
5)1969年北海道東方沖地震 8.2 7.8
(注:Mjは気象庁マグニチュード)
- 緊急地震速報
-
地震が発生した後(地下での断層ズレが生じた後)に、震源に近い1〜数地点の地震計でP波震動をとらえ、それから震源位置とマグニチュードを推定し、強い揺れが予想される地域の震度と到着時を計算し、各地域に伝えられる情報。内陸の足下に震源のある場合は、この情報は震源域とその周辺では間に合わないが、海域下に震源が有る場合は、大きな震動に襲われる前に情報が得られるので、有効な情報となる。
詳しい解説−>ここ
- 検潮所
-
検潮所は、海岸で海面の水位を計測するための検潮儀が設置されている場所です。津波、海洋の潮汐のほか、海流の変化による海水面変動、地盤沈下の検出などに活用されています。
- 固着域
-
海のプレートが沈み込んでいる所で、陸のプレートとの境界面である深さ以上のところでは2つのプレートはずるずるとずれていくのに対し、浅い部分では強い摩擦力でしっかりと固着しています。この部分を固着域といいます。固着域では滑りが止められているので歪みエネルギーが蓄積される部分となります。
- 自己浮上式海底地震計
-
海底で地震波を観測する機器で、海岸からケーブルで接続せず、観測記録装置や電源を一緒に備え、海底に設置された後独力で観測・記録し、一定期間後に回収を行い、まとめてデータを解析する装置です。地震発生後、直ちにデータは得られませんが、安価なため多点での観測が可能で、特定地域の詳細な研究に向いています。外観は写真の通りです。
赤い部分が浮力材で、その中に見える黄色いケースの中にガラス球が入っています。このガラス球は水深6000mの水圧にも耐えられ、中に地震計、記録装置、電池が納められています。茶色のヤグラは重りです。縦長の円柱のものは、水中にいるときに海上からの通信装置です。上にある赤・黒の縞状ポールは、海上に浮かんだときに電波を出す装置です。
- 「地震」(じしん)
-
「地震」という言葉は、二つの意味で使われています。それは、大地が震えること、すなわち大地が震動することが一つです。例えば、「地震を感じた」、「地震があった」、「地震は恐い」、「広域地震」などの表現の場合がそうです。一般に「地震」と言うとこちらの意味で使われています。
もう一つの意味は、この大地の震動を生じる原因となった地球内部の岩石の破壊現象をいいます。地震学者が「地震」と言った場合には多くはこちらの意味を指します。そして、そのずれ破壊の規模をマグニチュードであらわす。例えば、「地震が発生した」、「地震が起こった」、「マグニチュード7.2の地震」、「**県の地震」、「地震を予知する」などで、これらは後者の意味で用いられています。
このように現在使われている「地震」という言葉が異なった二つの意味を持っていることが、各種の情報伝達の中で混乱を生じる原因です。地震の大きさの程度を表す指標は、震動の意味では震度(気象庁震度階は0〜7)、岩石破壊の意味ではマグニチュードです。しかし、一般に使われる「地震の規模を示すマグニチュード」と言った場合の「地震」の意味は後者ですが、震動の程度=規模は震度で示しますから、まだ混乱しやすい表現と言えます。出来ればマグニチュードを表すときは「震源の規模」とか、「ズレ破壊の規模」とかの表現がより適切と思われます。
このため地震の規模(マグニチュード)と表現した場合、本来は破壊現象の規模を意味しますが、震度の意味に誤解されることがあるため注意が必要です。
火山活動に関係する地震は火山性地震とよび一般の地震=構造性地震とは区別されます。構造性地震の原因はプレートの運動速度の違いによって境界面附近歪みが蓄積されることです。そのため、地震の多くはプレート間またはプレート境界付近のプレート内で発生しています。地震はマグニチュード(M)により、極微小地震(M<1)、微小地震(M=1〜3)、小地震(M=3〜5)、中地震(M=5〜7)、大地震(M>7、とくにM≧7.8のとき巨大地震)に分けられます。近年では気象庁の地震観測網が充実し、マグニチュードが−1.5のような小さなものも場所によっては震源が決められるようになっています。震源の深さは、地表付近の浅発地震から深さ700kmにもなる深発地震まであります。
(参考文献:「二つの意味の地震」,地震学会ニュースレター1996,Vol.7,No.5,25-26.)
地震の起きやすい場所=震源の多い場所は、「震源」の項をご覧下さい。
- 地震観測
-
大地の震動を捉えること。昔は、人体での震動観測だけでしたが、機器を用いて人体では感じない微弱な震動を捉える工夫がなされて来ました。その最初は、中国の張衡(Zhang Hong)が紀元132年に発明した候風地動議でした。これは人体では感じないような微弱な震動で龍の口にくわえさせている玉が下へ落ち、下に置かれた蛙の口へ入って音がするというもので、一種の感震器でした。19世紀後半から20世紀には、振り子を用いた地震計などが開発されました。現在、世界中で地震計による観測が行われています。下図は、米国地質調査所(USGS)がデータを収集している世界の地震観測点で、7700点以上あります。国内の観測点分布は、−−>こちら。
- 地震前兆現象(じしんぜんちょうげんしょう)
-
地震が発生する前に震源域またはその付近で見られる地殻の異常な現象で地震の発生過程に密接に結びついたもの。全ての地震に同一の現象が見られるのではなく地震が発生する場所の不均質さ等により出現現象の種類もパターンも異なると考えらている。例としては地震活動(前震、地震空白域)、地殻変動(歪、傾斜、地盤の上下変化)、地下水、地震流、比抵抗、ラドン濃度等の変化が知られています。
- 地震の間(ま)
-
「地震の間」と聞くと最近は起震車を想像する人が多いようですが、昔は地震時の避難場所、一種のシェルタ−を考えていたようです。実際、彦根城の中に「地震の間」と呼ばれている棟があるそうです。これは、地震を体験する部屋ではなくて、地震のときに逃げ込む部屋とも言うべき場所です。田代さん(1975)によると彦根工業高校が調査したもので、そこには3室有り、他の建物に比べて基礎や構造が補強されていて、重要な客を接待するための部屋だったようです。11代藩主井伊直中公の頃(1820年代?)に作られたと紹介されています。その中に、「地震の間」が建てられた理由として、周辺で起きた大地震が起きたことをあげています。
また、江戸城にも地震の間があったそうで、慶安から万治以降、寛政の頃まで地震の家とか地震御殿と呼ばれたものがあったようです(加藤,1997、宇佐美,2000)。
昔の日本家屋で地震対策は、この「地震の間」と「地震口」が伝えられているだけです。後者は、雨戸の内に小さな絡繰り戸を設け、掛けがねをはずすと自動的に開くようにしたもの。
(参考)田代清一,1975,地震の間,大阪管区技術情報,vol.12,No.18,49-50.
加藤秀幸,1997,城郭殿舎建築における地震屋・地震之間・地震御殿の史的考察,歴史地震,No.13,191-202.
宇佐美龍夫,2000,彦根城楽々園地震の間についてー「齋田時太郎氏(地震研究所)の論文:昭和15年4月18日発表」に示されたものの現状ー長島秀隆著,「なゐ」の反古拾ひ(自費出版),263-277.
- 地震波(じしんは)
-
地球内部の地震破壊によって周囲に放出される弾性波。弾性波の種類は、地球内部全体に伝わる実体波と地球表面付近にエネルギーが集中して伝わる表面波があります。実体波としては縦波であるP波、横波であるS波があり、これらの各地への到着時刻から地震の破壊の始まった時刻と場所が推定されます。一方表面波は、レイリー波、ラブ波があり、レーリー波の振幅は地震の規模(表面波マグニチュードMs)の推定に用いられて来ました。表面波はその震動エネルギーが表面に集中するため減衰が小さく、大きな地震では地球を何周も回る波も観測されます。その他、震源附近の海底から海中へ音波として伝わり、沿岸付近でまた地中へ戻り地震波として観測されるT相というのもあります。
- 地震発生サイクル
-
広域の応力によって歪みが蓄積し、断層面が破壊してずれ動き、地震が発生します。その後にも地震前と同様な広域の応力が働き続けることによって再び歪みが蓄積され、再び次の地震が発生します。このような歪みの蓄積から地震発生までの一連の過程を意味します。
- 地震名
-
気象庁では、自然の異常現象が起きたとき、(1)気象・地象・水象等により顕著な災害があった場合や(2)その他特に必要がある場合に、気象庁長官が命名して来ました。きわめて重大な災害等には、関係機関とも協議して決定し広く広報しています。最近では、「平成15年(2003年)十勝沖地震」、「平成16年(2004年)新潟県中越地震」などの命名をしています。地震・火山分野で最初に命名されたのは、1960年の「チリ地震津波」です。1968年からは年号が入れられるようになり、その後、少し修正を繰り返し、現在の形になりました。これらは、過去の地震火山被害を引用する際など有効に用いられています。
命名が始まった当初は「顕著な災害」の明確な基準はありませんでした。被害で死者が数名出た場合でも地震に命名しなかった例も過去にあります。2003年5月26日に宮城県沖で発生した地震(M7.0)については、報道関係が「三陸南地震」や「東北地震」といった表現をされていましたが、命名されていません。しかし、平成16年(2004年)からは、一定の基準が設けられました。一方、命名されていない地震を気象庁では、震央地名で呼び(例えば、宮城県沖の地震、福岡県西方沖の地震という風に)、報道発表資料等でもその表現で統一しています。
以下にこれまで命名された地震、火山噴火を示します。マグニチュードの後ろの数字は、死者/行方不明数です。これらは消防庁または新編日本被害地震総覧によります。
1 チリ地震津波1960.5.23 Mw9.5 122/20
2 北美濃地震1961.8.19 M7.0 83
3 宮城県北部地震1962.4.30 M6.5 3
4 越前岬沖地震1963.3.27 M6.9 0
5 新潟地震1964.6.16 M7.5 26 津波による被害あり
6 松代群発地震1965.8.3〜 最大M5.4 0
7 えびの地震1968.2.21 M6.1 3 1967.11.17頃から活動あり
8 1968年日向灘地震1968.4.1 M7.5 0 津波による被害あり
9 1968年十勝沖地震1968.5.16 M7.9 52 津波による被害あり
10 1972年12月4日八丈島東方沖地震1972.12.4 M7.2 0
11 1973年6月17日根室半島沖地震1973.6.17 M7.4 0 津波による被害あり
12 1974年伊豆半島沖地震1974.5.9 M6.9 30 断層生じる
13 1977年有珠山噴火1977.8.7〜 2/1 死者・行方不明者は1978 .10.24の二次泥流による
14 1978年伊豆大島近海の地震1978.1.14 M7.0 23/2 断層生じる
15 1978年宮城県沖地震1978.6.12 M7.4 28
16 昭和57年(1982年)浦河沖地震1982.3.21 M7.1 0 地震動による被害あり
17 昭和58年(1983年)日本海中部地震1983.5.26 M7.7 104津波による被害甚大(死者100名)
18 昭和58年(1983年)三宅島噴火1983.10.3〜 0
19 昭和59年(1984年)長野県西部地震1984.9.14 M6.8 11/18
20 昭和61年(1986年)伊豆大島噴火1986.11.15〜 0
21 平成3年(1991年)雲仙岳噴火1990.11.17〜 41/3 最大の人的被害を発生させた噴火は1991.6.3
22 平成5年(1993年)釧路沖地震1993.1.15 M7.8 2 地震動による被害あり
23 平成5年(1993年)北海道南西沖地震1993.7.12 M7.8 201/28 津波による被害甚大
24 平成6年(1994年)北海道東方沖地震1994.10.4 M8.2 0 択捉島で死者10名以上津波の被害あり
25 平成6年(1994年)三陸はるか沖地震1994.12.28 M7.6 3 津波による被害あり
26 平成7年(1995年)兵庫県南部地震1995.1.17 M7.3 6,432/3
この地震により引き起こされた災害に対して政府が付けた名称は「阪神・淡路大震災」
27 平成12年(2000年)有珠山噴火2000.3.31〜 0
28 平成12年(2000年)鳥取県西部地震2000.10.6 M7.3 0
29 平成13年(2001年)芸予地震2001.3.24 M6.7 2/
30 平成15年(2003年)十勝沖地震2003.09.26 M8.0 /2
31 平成16年(2004年)新潟県中越地震2004.10.23 M6.8 46/
32 平成19年(2007年)能登半島地震2007.3.25 M6.9 1/
33 平成19年(2007年)新潟県中越沖地震2007.7.16 M6.8 15/
- 10倍M
-
地震のマグニチュードと震度が混乱されやすいので、気象庁OBの松本久氏が提案したマグニチュードの数値を単純に10倍したもの(地震学会ニュースレター1995年5月号を参照)。
- 震源(震源地)
-
地下でズレ破壊の始まった場所。地震波を放出し始めた最初の場所。一般的に震源に近いと震動が激しく、震度は大きい。しかし、震動は震源域全体で起こされるので、マグニチュードの大きな地震では震源域は広く、震源=破壊の開始点から離れていても震源域に近ければ震動が大きいのです。そのため大きな地震では震源だけ点や丸だけで表示すると誤解を生ずるので出来るだけ拡がりを持った震源域を表示すべきです。
震源は、どこにでもあるわけではありません。その分布を見ると下図のように限られた場所です。海外旅行へ行かれる方は、現地が地震の多いところかどうか下の図を参考にして下さい。
世界の浅い震源の分布です。震源は、プレートの境界付近だけに付近だけに分布するので地震を感じるのは、その周辺域だけです。
100kmより深い震源の分布です。これはプレートが深くまで沈み込んだ所にしか分布しないので、浅い震源よりももっと限られた所にしかありません。
- 震源域(しんげんいき)
-
震源断層はほぼ面と考えられますが、この場合は、両側の場所を含んだやや厚みのある領域を指します。断層ズレが起きた面を含み、その両側で塑性変形、余震などによって大きく破壊が起きたと思われる領域です。昔は、余震域地震がなどから推定しました。最近は断層ズレ領域の推定が細かく分かるようになり、狭く限定できるようになって来ました。プレート境界での巨大地震の震源域が重ならないという特性から未破壊域を地震空白域と推定し、長期的地震予知にも活用されてきました。
- 震源核(しんげんかく)
-
地震が発生する前に断層面上で準静的に成長すると考えられている地震の種(たね)。外的な力の増大とともにすべりが進行し応力が低下している領域。ある臨界状態に達すると成長が加速し、動的破壊、すなわち地震発生に至ります。
- 震源過程解析(しんげんかていかいせき)
-
地震は、岩石の破壊現象ですが、その破壊とはある境界面での急激なズレです。このズレも境界面内の一点から始まり、周囲へ広がり、破壊面の端で止まります。そして、その破壊面内でも破壊の伝わる方向や速さも地点によって異なり、ズレの大きさや向きも異なっています。震源過程解析では、これらの破壊面での破壊過程の詳細を調べることを言います。
- 震源群と地震群(しんげんぐん)
-
しばらくお待ち下さい、これから書きます。
- 震源列と地震列(しんげんれつ)
-
しばらくお待ち下さい、これから書きます。
- 震源帯と地震帯(しんげんたい)
-
昔は、信濃川地震帯とか、環太平洋地震帯という呼び方をして、地震が多く起きる地帯を「地震帯」と呼んでいました。しかし、実際には、震源が多く分布する地帯という意味です。ですから、地震という言葉が、震動という意味で受け取る人が多いので、厳密には「地震帯」というより、「震源帯」と呼んだ方が適切です。中小地震の震源が密に分布する帯状地帯や、巨大地震の震源域が連なって分布する地帯を意味します。
- 震源断層(しんげんだんそう)
-
地震動を発生させた源の断層。地震動は地下の岩石がある面を境として急激にズレ破壊を起こしたことにより生じるので、そのズレを生じた面のことで、震源断層と呼ばれます。
- 震度(しんど)
-
地下での断層ズレによって生じた震動を地表付近で感じた程度を表すもの。日本では気象庁が従来、体感および周囲の状況から推定していましたが、平成8年(1996年)4月からは、計測震度計によって測られたもの(計算方法はここ)が発表されています。気象庁の震度階級は無感の「0」から最大「7」まであり、震度「5」と「6」が「5弱」、「5強」、「6弱」、「6強」に分けられています。その変遷については、岐阜大のページに詳しく書かれています。外国では,改正メルカリ震度階級及び東ヨーロッパで使われるMSK震度階級が代表的であるほか、ヨーロッパ・マクロ震度階級(1998)があります。日本付近では、中国は、改正メルカリ震度階級を自国用に改良した震度階級を1981年に作成しています。台湾は別の震度階級を用いています。韓国は、2000年末までは日本の古い気象庁震度階級(1949)に準じるものを使っていましたが、2001年からは改正メルカリ震度階級を用いています。ただ研究者の間では、2000年以前からも改正メルカリ震度階級が使われており、論文などでも改正メルカリ震度階級で示されています。 朝鮮民主主義人民共和国では、中国の震度階級が用いられているようです。
- 水圧破砕法(すいあつはさいほう)
-
地中の応力を計測するための方法の一つです。まず地盤に細い孔を掘り、ある深さに水を圧入することにより周囲の岩盤を破砕します。この破砕時の水圧の大きさと岩盤に生じた割れ目の方向から、周囲の応力の向きと大きさを推定するというものです。
- スマトラ地震
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2004年12月26日にスマトラ島北部の西方沖からニコバル諸島、アンダマン諸島にかけてのプレート境界面で起きたズレで、マグニチュード9.0という超巨大地震でした(Mw9.3とか、9.4いう説もあります、津波の大きさから推定したマグニチュードは9.1です)。海底で大きな上下変位が起きたため、大きな津波を引き起こしました。津波は、震源域のスマトラ島、ニコバル諸島、アンダマン諸島のほか、マレー半島西岸、ミャンマー、スリランカ、インド東岸、インド洋諸島の国々、遠くアフリカのソマリア、ケニヤまで及びました。そのため津波による犠牲者が多く、30万人(最終数値ではありません)近い死者・行方不明者が出たと報道されています。震源断層は、幅200kmを越え、長さ850〜1200km、ズレの量8〜13mとも推定されています。下に概略図を示します。2005年3月29日(日本時間)にこの南東側のニアス島を含む地域を震源域とする地震は、M8.7で、スマトラ地震の余震ではありません。日本で言うならスマトラ地震が南海地震でニアス島の地震は東南海地震のような関係になります。
青線がインド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートの境界面の地表部分です。両者のプレート境界面は、東南アジア側へ傾いて、深くなっています。ですから矩形で囲った部分の東南アジア側の上盤がインド洋側(下盤)へ急に跳ね出たことが震動源になったのです。断層ズレの型としては、逆断層です。
- 堰止め湖(せきとめこ)
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地震の震動などで起きた地滑りや、火山噴火による溶岩流などで河川が堰き止められて出来た湖のことを指します。地震の例では、2004年中越地震(M6.8)による芋川が堰き止められて出来た湖で多くの家屋が被害を受けたことがよく知られています。過去の事例では、
1683年10月20日(天和3年9月1日)下野・岩代の地震(M7.0)で葛老山が崩壊し、男鹿川、湯西川をせき止め五十里湖を作りました。当時の会津藩は、水抜きや土砂除去を試みましたが失敗し、そのまま放置されました。しかし、40年後の享保8年8月10日(1723年)に暴風雨により決壊し鬼怒川下流域を大洪水が襲いました。この五十里洪水は、下野国史上最大の自然災害と言われています。
1704年5月27日(宝永元年4月24日)羽後・津軽の地震(M7.0)では、八森から深浦にかけて山崩れが多く発生し、谷を埋め十二湖として知られる多数の湖を作りました。
1847年5月8日(弘化4年3月24日)M7.4善光寺地震では、多数の山崩れや地滑りが起きましたが、その中でも虚空蔵山(現在の大倉山)の崩壊は犀川へ流れ込み大規模な堰止め湖(長さ30km)を作りました。その堰止め湖が19日後(4月13日)に堰が決壊し洪水となり流出家屋810,流死100余の被害が出ました。洪水死が規模の割りに少なくてすんだのは、決壊を恐れて事前に避難していたためです。
1858年4月9日(安政5年2月26日)飛越地震(M7.0〜7.1)は、岐阜県北部の跡津川断層の地震と考えられていますが、この地震によって常願寺川上流の大鳶・小鳶山が崩れ、湯川を堰き止め、真川谷でも山崩れで堰止め湖が作られました。3月10日と4月26日に堰が決壊し、下流域が洪水になり大きな被害が出ました。前者は、信州大町の地震(M5.7)が原因で決壊したのではないか、と言われています。後者は被害が大きく、流出・潰家1,612、溺死140人の被害が出ました。
1984年9月14日(昭和59年)長野県西部地震(M6.8)でも王滝川を堰止めましたが、このときは河床を埋め尽くした形だったので洪水は起きませんでした。
火山噴火の例では、1888年(明治21年)磐梯山噴火で檜原湖、秋元湖が作られました。
- 相似地震(そうじじしん)
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観測される地震波形が互いに良く似ている地震群のことで、波形の相似性が極めて高い地震群のみについて「相似地震」と呼ばれています。このような地震群は、ほぼ同一の震源域で繰り返し発生したと考えられています。
- 速度構造
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地震の震源を決定する際の未知の変数は、地震の発生時刻と発生場所(x、y、zの3つの量)ですが、未知の量としては、地震の波の伝播速度もあります。しかし、ふつう地震波の伝播速度は既知の量として扱います。その計算に使うのが、速度構造というものです。つまり、地殻内やプレート内の地震波の伝播速度を深さごとに与えておいて、地震の震源を決定する際に使うのです。なぜ速度の値を与えてやる方が決定精度が良くなるかというと、地震の波の伝わり方は、深さや場所によって異なるためです。つまり、速度を単純な1つの未知数として考えると、速度が一様になってしまい、現実とかけ離れてしまい、震源が正しく求まらなくなるのです。
- 大本営予定地跡(だいほんえいよていちあと)
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第二次世界大戦末期に日本陸軍が長野県埴科郡松代町(現在の長野市松代町)周辺に建設していた巨大地下壕群と付属施設のことで、「松代大本営」とも呼ばれています。ちなみに海軍は別の所に計画していたようです。工事は、極秘裏に倉庫を造るという名目で進められ、「イ・ロ・ハ号倉庫」と主に三カ所で進められました。
この場所が予定地に選ばれた理由は、まず長野県が「信州」で「神」州に通じることでした。それで県内の地形を調査して両側に山が迫り、空から見つかりにくく、山がまとまって位置していた松代地区が選ばれたと言われています。全体構想では、須坂、小布施に通信施設、善白鉄道の隧道利用などの建設も行われていました。
「イ号倉庫」は、象山(ぞうざん)地下壕で、予定としては政府機関とNHK用の施設でした。総延長距離は、5.9kmと最大です。現在、長野市が一部を補修して一般公開されています。場所は、象山記念館の南西に位置し、恵明寺の所から少し南の所に入り口があります。当室の案内図の松代拡大地図にも場所を載せています。
「ロ号倉庫」は、舞鶴山地下壕です。総延長距離は、2.6km。天皇、皇后両陛下関係の施設が予定されたのですが、計画段階から工事開始当初までは、皆神山の「ハ号倉庫」がその目的の施設でした。しかし、皆神山の掘削工事を始めると余りに岩質が悪く、落盤続きで工事を遂行することすら困難を極め、そこを天皇関係の施設にするのをあきらめたそうです。戦後、気象庁が地震関連の観測施設(当初は「地震観測所」、現在は「精密地震観測室」)として活用しています。現在の精密地震観測室1号庁舎は天皇陛下居室用、2号庁舎は皇后陛下居室用、3号庁舎は宮内庁職員用として建てられました。1号庁舎と2号庁舎からは避難壕(地下御殿とも呼ばれています)予定の小坑道への避難路もあります。天皇陛下の居室予定であった部屋は、1号庁舎の外から見学することが出来ますが、工事自体が完成していなかったこともあり、当時の面影を残すのは、床の間の板と柱だけだと言われています。3号庁舎の一部は、地震関係の展示室で自由に見学出来ます。
(注:トンネル(大坑道)入口の上部にある表示は、「気象庁地震観測所」になっていますが、正しくは「気象庁精密地震観測室」です。経費がもったいないので書き換えていません。右横に立っている市観光局の立て看板にも旧名称で書かれています。混乱を生じさせているようで申し訳在りませんが、入口の左側に立っている当室の看板が正しい名称です。)
「ハ号倉庫」は、皆神山地下壕で皆神山の南東部に掘られました。総延長距離は、1.6km。舞鶴山地下壕の説明でも書きましたが、当初は天皇陛下関係の施設として掘られました。しかし、地質が悪く余りに落盤が多く、危険だったので、計画も縮小され、食料庫という目的に変更されました。現在も危険なため閉鎖されています。
この写真は、精密地震観測室の玄関である2号庁舎入り口です。入口の階段を上がり、建物へ入らず右へ階段を登って行き、木立ちの間を上がると外から天皇陛下の居室予定の部屋を見ることが出来ます。撮影した2004年は珍しくこれだけ大雪が降りましたが、普通はこれほど雪は降りません。
象山(ぞうざん)地下壕の鳥瞰図(現地にある看板を撮影した物)です。赤い線の部分が見学出来ます。
- 断層ズレの型:正断層、逆断層、横ズレ断層
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断層は、ズレの様式によって正断層、逆断層、横ズレ断層に分けられます。正断層は、地盤が特定の水平方向に延びることによって引き起こされる断層ズレで片側の地盤が断層面を境に滑り落ちるズレです。この場合は、地表面で断層面の一部を見ることが出来ます。逆断層は、これとは逆で、地盤が特定方向に圧縮されているときに起きます。断層面を境に片側の地盤が反対側の地盤の上にのし上がる動きをします。この場合、のし上がった側の地盤の先端は自分の重さで崩壊してしまい、断層面を地表で確認出来ません。横ズレ断層は、断層面を境に相手の地盤が反対側へ動く場合です。相手側が向かって右へ動けば右横ズレ断層、相手側が向かって左へ動けば左横ズレ断層と呼びます。ただ、横ズレ断層の場合でも断層末端部は上下のズレを伴います。
- 断層破砕帯(だんそうはさいたい)
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岩石の破壊によって生ずる不連続面を断層と呼びますが、破壊が繰り返されることなどにより断層は厚みをもつようになり、破砕された岩石などで充填されていきます。その充填されている領域を断層破砕帯と呼んでいます。
- 中越地震(ちゅうえつじしん)
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2004年10月23日17時56分、新潟県中越地方の地下4〜15kmの所で北西へ傾斜した面を震源断層とする地震が起きました。マグニチュードは6.8で、山古志村、長岡市、小千谷市を中心に死者40名のほか大きな被害をもたらしました。川口町で震度7を記録しました。
(参考文献)
平田直ほか,2005,2004年新潟県中越地震,科学,75巻,2月号,149-151.
気象庁報道発表資料
国土地理院の関連ページ
産業総合研究所の関連ページ
東京大学地震研究所の関連ページ
鈴木康弘(名古屋大学)ほかの活断層調査報告
新潟大学の関連ページ
- 津波
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海底下や海岸付近で地震が起きると海水が持ち上げられたり、下げられたりして起きる波のことを指します。原因は、地震による震源断層でのズレにより海底面が隆起したり、沈降したりしてするためなので、陸での地震や、震源の深い地震では生じません。ただ、仮に震源が陸であっても震源域が海域も含んでいたり、地震による地殻変動が海域にも及んでいるときは津波を生じる場合があります。ですから海岸で地震動を感じたらすぐ高いところへ逃げるようにしましょう。気象庁では大きな地震が起きるとすぐ津波の可能性を調べて津波警報・注意報を出しますが、日本沿岸では場合によって津波警報よりも先に津波が押し寄せる場合もありますのですぐ逃げるつもりで対応して下さい。
それから津波の伝わる速さは、そこの海の深さによって異なります。深さが5000mもあると時速約800kmとジェット機なみの速さです。沿岸近くになり水深10mでは、時速約40kmと自動車なみの速度になります。また、地震で海底が沈降した地域に近い海岸では引き波から始まります。一方、海底が隆起した場所から近い海岸では、押波から始まりますので、引き波が最初とは限りません。また、最初の波が最大とも限りません。何度も繰り返し襲って来ますので、最初が小さくても安心しないで下さい。
「tsunami」という言葉が海外でも使われるようになったのは、1957年アリューシャン地震によって起きた津波がハワイに来襲し、そのとき日系人が「つなみ」と叫びながら逃げたので定着したと言われています。中国や日本の古文書では、「海嘯」(かいしょう)という言葉も使われています。韓国の古文書では「海溢」(かいおう)という言葉が使われています。1983年に秋田沖で起きた日本海中部地震や1993年に奥尻島に大きな被害を与えた北海道南西沖地震などで、韓国では地震を感じないで津波が東海岸へ押し寄せました。同じ事が昔も起きたと思われますから、昔の人にとっては、突然海が溢れたと感じたのでしょう。
- 低周波地震(ていしゅうはじしん)
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地震波の低周波成分(長い周期)が卓越し、相対的に高周波成分が発達しない地震のこと。最近は、特に陸域の地殻深部やマントル最上部付近で発生する地震を指す場合が多くなっています。火山の深部に多いと言われていましたが、最近は大きい地震の震源域の深部付近にも見つかるようになりました。地下の流体 (マグマや水等)の挙動 に関係していると考えられています。また、南海トラフの沖側でも浅い低周波地震が起きていることが分かってきました。
- 低周波微動(ていしゅうはびどう)
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地下深部において、微小地震と同程度の振幅ですが通常の微小地震より低周波の地震波が、長い時間にわたって放出される現象のこと。継続時間は多くは数分から長くとも1時間程度です。低周波微小地震と似た現象ですが、波の始まりが不明瞭でかつ長時間継続することが異なります。主に西日本の下で、沈み込むフィリピン海プレートと陸側プレートの境界面付近の深さ40〜50km付近で多数発生していることが発見されました。最近の研究では、この低周波微動は低周波地震が沢山連続的に発生している現象だと指摘されました。
- 「発震時」と「震源時」
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気象庁では、地震観測開始以来「発震時」の言葉を地震波動到着時刻(着震時)の意味で用いて来ました。各地の気象台で地震観測を始め、業務化して重要な時刻は記録紙上の震動開始時、すなわち発現時を読みとっていました。これが「発震時」という言葉で観測業務に定着したと思われます。もちろん当時は地震観測網もまばらで感度も高くなかったため、1,2点だけで観測され震源を決めることが出来なかった場合が多かったという事情もあったと思われます。その後、各地での震動到着時を用いて震源を決めるようになり、英語の「Origin Time」の意味に対応して「震源時刻」が用いられています。ですから、「震源時刻」は地下での断層ズレの始まった時刻を指します。大きな地震では断層ズレが10秒以上続くこともありますが、「震源時刻」はあくまで開始時刻を指します。一方、「発震時」を断層ズレの開始時、すなわち「震源時刻」の意味で受け取る人が多くなっています。そこで気象庁でも、地震観測指針「調査編」(1990)からは「発震時」の用語を出来る限り用いないようにしました。しかし、その後も混乱はまだ残っているようです、御注意下さい。
また、最近は「震源時間関数」という言葉が震源断層での破壊過程を表すときに用いられるようになっています。これは断層面内での破壊が時間的にどのように進行したかを表現する際の言葉です。
- 非地震性滑り(ひじしんせいすべり)
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断層やプレート境界における、地震波を放出しないゆっくりとした滑り。
- 歪(ひずみ)の蓄積・開放
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プレート運動などにより、地殻・プレート内にゆがみが溜まることを歪(ひずみ)の蓄積といいます。ばねを伸ばしたり縮めたりするときに変形が生じるのと同じ現象です。変形が限界に達した後、破壊もしくは地震の発生によって変形が元に戻る状況を歪の解放といいます。地震は、岩石に貯えられたひずみのエネルギーが一気に解放される現象です。いいかえれば、地震の発生に先立って震源域とその周辺ではひずみが蓄積されています。
- 兵庫県南部地震
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1995年1月17日に神戸市から淡路島北部を震源域として発生したマグニチュード7.2の地震で、死者6,433、不明3、負傷43,792、住家全壊104,906、半壊144,274、住家全半焼6千以上(平成14年12月26日現在)の大災害を生じました。典型的な都市型災害が発生し、1923年関東地震以来の大災害となりました。震災としては阪神・淡路大震災と呼ばれ、我が国の地震対策を見直す契機となりました。この地震では淡路島北西岸の野島断層に地表で最大水平右横ずれ1.3m、垂直ずれ0.5mのずれ変位が生じています。
- プレート
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地球表面は、地殻と十分に冷却して固くなっている最上部マントルとを合わせた厚さ30km程度から100km程度の固い岩石の層で覆われています。この固い岩石の層は、いくつかのブロックに分割されていて、それぞれの板状(球殻状)のブロックをプレートと呼んでいます。プレートは、大きく分けて海のプレートと陸のプレートに分けられ、海のプレートは、海嶺で下部の方からわき上がって形成され横へ移動しながら冷やされて厚くなり、海溝で地球内部へ戻ります。陸のプレートは、海のプレートの軽い部分が付加されることもありますが、分裂したり、合体したりを繰り返しています。日本列島は、フォッサマグナを境に、東側はオホーツク・プレート(北米プレートの一部)、西側はアムール・プレート(ユーラシアプレート)と沖縄島弧です。主に陸で構成されているプレートは、大陸プレートと、海洋で構成されているプレートは太平洋プレートと呼ばれます。前者の例は、ユーラシア・プレートで、後者の例は、太平洋プレートやフィリピン海プレートなどです。下図は、主なプレートの配置です。
- 変換波(へんかんは)
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地震波は、大きく分けて縦波(P波)、横波(S波)と表面波がありますが、P波もS波も物質の境界面や表面で別の波を生成します。これを変換波と呼びますが、地球内部の多くの境界面での変換波にはそれぞれ名称が付けられています。例えば、P波からS波へ変換いたものは、PS変換波と呼ばれ、その逆はSP変換波と呼ばれています。
- ボアホール
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地下深部の情報を取得するために掘削される円筒状の穴。直径は10〜20cm程度のものが多く、深く掘るときは浅い部分を大きくするのが普通です。ボアホールは地下深部のコアサンプル(岩石のサンプル)を取得する目的の他、地下深部の人工雑音の小さな環境に地震計や歪計などの計測機器の設置、応力測定などに利用されます。
- 本震(ほんしん)
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地震は続発して地震群となる場合がほとんどです。そして、一つの地震群の中で一番大きい地震のことを本震と呼びます。一般には本震が他の地震より飛び抜けて大きく、マグニチュードで1以上違います。多くの場合、地震活動の一番最初か、初期に発生します。主震ともいいます。本震より先に発生した地震は前震と呼ばれ、後に発生する地震は余震と呼ばれます。前震は発生した段階で、前震であると判断するのは一般には困難です。余震は指数関数的に発生する回数が減少してゆきます。
- M(マグニチュード)
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震源でのズレ破壊の規模を示すもので、現在はいろいろなものがあります。最初は1935年にリヒタ−(C.F.Richter)が南カリフォルニアの地震を対象にウッド・アンダーソン地震計での波形振幅で定義しました。これが現在はローカルマグニチュード(Ml:エムエル)と呼ばれています。欧米のマスコミではマグニチュードと言わずリヒタースケールと表現する場合が多く見られますが、創始者の名称を使っているわけです。ローカルマグニチュードは特定の地域でしか使えませんから世界的な基準が必要になり、実体波マグニチュード(mb)と表面波マグニチュード(Ms)が一般的に使われるようになりました。実体波マグニチュード(mb)は、周期1秒程度の短周期地震計の観測振幅と周期から求めるもので、小さい地震からM5.5程度までを震源の深さにかかわらずほぼ正確に表せます。一方、表面波マグニチュード(Ms)は長周期地震計による周期約20秒の振幅から求めるもので、震源の浅い地震でマグニチュード5弱以上で求めることが出来ます。しかし、周期20秒程度の振幅を使っているため、限界があることが分かりました。小さい地震では求めることが出来ません。さらに、巨大地震でもM8.5程度以上の非常に大きな地震ではもっと周期の長い地震波で大きなエネルギーが放出されているため、正確なズレ破壊の規模が表せませんでした。そこでこのような長周期の地震波も評価したモーメントマグニチュード(Mw)が導入されました。超巨大地震の大きさを正確に表現するにはモーメントマグニチュード(Mw)を尺度にする必要があります。気象庁の発表するマグニチュードの値は、独自の式で求めたものですが、中規模地震以上ではMsに近い値になります。他のMとの混乱を避けるため、Mjと表記される場合もあります。
ただ、mbやMsは観測波形の振幅を測れば比較的簡単に求めることが出来ますが、Mwは、P波からS波、表面波を含む地震波形全体を使って求めるため、やや時間がかかり速報性という意味ではやや劣ります。
そのほか、津波マグニチュード(Mt)があります。これは生じた津波の大きさから評価するものです。浅い縦ズレ地震の場合には、MsやMwにほぼ対応しますが、震源の深さや震源域のある海域の水深によって大きくなったり、小さくなったりします。一般的に津波は、震源が深いと小さくなり、水深が深いと大きくなります。また、横ズレ型の地震は大きな津波を生ずることは希です。ですから、Mtは津波の規模を比較するのには使えますが、地震の規模を評価する場合には必ずしも適切ではありません。
なお、旧ソ連圏では、マグニチュードの代わりに「K」値が使われています。
また、マグニチュードと震度が混同されるのを避けるためマグニチュードの数値を10倍する10倍マグニチュードというのも過去に提案されたことがあります。
20世紀以降でモーメント・マグニチュード(Mw)の大きい順
1)1960年チリ地震 9.5
2)1964年アラスカ地震 9.2
3)1957年アリューシャン地震 9.1
4)1952年カムチャッカ地震 9.0
2004年スマトラ・アンダマン地震 9.0 -> 9.3とか9.4という説もあり、この場合は2番目になります
6)1906年エクアドル地震 8.8
7)1965年アリューシャン地震 8.7
2005年スマトラ・ニアス島地震 8.7
9)1950年アッサム地震 8.6
10)1922年アタカマ地震(チリ) 8.5
1938年バンダ海地震 8.5
1963年ウルップ島沖地震 8.5
日本 Mw Mj
1)1933年三陸沖地震 8.4 8.1
2)1994年北海道東方沖地震 8.3 8.2
3)1958年エトロフ島沖地震 8.3 8.1
4)1968年十勝沖地震 8.2 7.9
5)1969年北海道東方沖地震 8.2 7.8
(注:Mjは気象庁マグニチュード)
- 椋平虹(むくひらにじ)
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「虹」で地震予知が出来ると言う話の始まりは、「椋平虹」です。これについて京都大学理学部の故三木晴男教授(当時)が調査されました。三木教授は、何度も椋平氏に直接会われ、地震発生前に直接連絡してくるように頼んだのですが、結局消印が地震発生前の時刻になっているハガキが2回来ただけで、事前に連絡があったときは地震が起きませんでした。文献リストを作成しました。
(関連文献)
椋平廣吉,1935,地震の前兆と椋平虹現象,自費出版,19pp.:セ
藤原咲平,1935,雑報「所請椋平虹に就いて」,測候時報,Vol.6,No.19,300-302.
藤原咲平,1937,所謂椋平虹に就て(英文),東京大学地震研究所彙報,15,706-710.
椋平広吉,1954,”椋平ニジ”とは? ”椋平ニジ”について,天文と気象,Vol.20,No.3-4,23-25.
宮本貞夫,1954,”椋平ニジ”とは? 椋平ニジで地震予知は可能か?,天文と気象, Vol.20, No.3-4,23-25.
宮本貞夫,1954,椋平虹が地震と直接的関係なき証明, 地震U,Vol.7 ,No.2,136-137.
狐崎長琅,1971,椋平虹の周辺(参、椋平アークの周辺),GEO-ADVENTURE(私製ミニコミ誌), 1-38.
三木晴男,1971,むくひらにじ その1,非売報告書,44pp.
三木晴男,1973,むくひらにじ その2,非売報告書,34pp.
三木晴男,1976,むくひらにじ,非売報告書,63pp.
三木晴男,1975,佐治氏の「アスアサ四ジ ジ シンアル」に寄せる,p291-302.
佐治芳彦,1975,『「アスアサ四ジ ジ シンアル」ドキュメント・”椋平虹”の挑戦』,「みんと」社,306pp.
- メカニズム(発震機構)
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P波初動方向の分布から求める初動発震機構解と地震波のP波から表面波までを使って求めるCMT解があります。結果は、断層のズレが起きて開放された力の状態を知ることが出来ます。プレート境界や断層に溜まっていた歪がどれだけ開放されたかが分かります。両者はほとんど同じ結果を示しますが、ときどき一致しないことがあります。前者は、初動の方向だけによるので初期破壊を反映し、後者は大きな振幅の部分に依存するので主破壊のメカニズムを反映していると考えられています。この他、S波の初期震動方向を用いる方法もあります。
初動発震機構解
CMT解
- 免震構造(めんしんこうぞう)
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建物と基礎の間に積層ゴムやダンパーなどの特殊装置を取り付け、地震波による衝撃をやわらげ振動エネルギーを吸収し、建物の搖れを軽減する工法を使った構造。広い意味では受動的制震技術を用いた構造も含まれます。応用例では建物全体ではなく、コンピュータ室など特別な室だけを免震構造にする方法もあります。
- 面積歪(めんせきひずみ)
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地盤の伸び縮みの度合を客観的に表わすため、1方向の伸縮量を単位長さで割ったものを線歪(せんひずみ)といい、面積(広さ)の変化を単位面積で割ったものを面積歪(めんせきひずみ)といいます。
- 有感地震(ゆうかんじしん)
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人体で震動を感じる地震を言います。対応する言葉として無感地震があり、これは人体では感じることが出来ず、機器で地震動を増幅することにより捉えます。地震動は、震源域から離れると弱くなるので、震源域付近で有感であっても、遠くでは無感になります。
- 余震(よしん)
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大きな地震が起きた後に続いて発生する小さな地震。大きな地震は、本震と呼ばれますが、そのマグニチュードが大きいと余震のマグニチュードも大きいものが起きやすく、回数も多くなります。本震発生直後の1日以内に大きな余震が発生することが多い。小さな余震は100年以上続く場合もある。震源が深い場合は、余震は少ないです。
余震は、元々は「餘震」と書かれていました。この「餘」の意味は、「あまり、よぶん、残り、はした、すえ、ノチ」という意味です。
- CMT解析
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CMT ( Centroid Moment Tensor ) 解析の略称。
地震波形データを用いて、震源過程全体を時空間の1点で代表させた場合のその位置、発震機構などを求めることです。世界的に大きな地震の解析では、米国ハーバード大学の解析が有名です。
CMT解
- ASRO
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簡略型地震研究観測点網(Abbreviated Seismic Research Observatories)の略称で、簡略型SROの意味になります。SROがボアホール型ですが、これは地上型で、短周期上下動1成分を加えHGLPを改良したものです。当室では、改良型高感度長周期地震計と称しています。
- BUD
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バッファ・オブ・ユニフォーム・データ(Buffer of Uniform Data)の略称。
IRISによって運営されていて、複数の地震観測網の地震波形データを集めています。IDA(International Deployment of Accelerometers)によって運営されている地震観測網は世界中に約30点設置されており、BUDによって公開されています。地震波形データは、約5分遅れの準リアルタイムで伝送されています。当室で利用している観測点は下図の地点です。
- CANDIS
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CANadian DIgital Sesmographの略称。カナダのディジタル地震観測網。
- CDSN
-
中国ディジタル地震観測網(China Digital Seismograph Network)の略称で、中国のネットワークです。米国地質調査所との共同研究に基づいて展開されています。ホームページは、ここです。
- CTBTO
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Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty organization(包括的核実験禁止条約機構)の略称。ホームページは、ここです。準備委員会はウィーンにあります。包括的核実験禁止条約の現状については、外務省の解説をご覧下さい。
- DELP(デルプ)
-
国際リソスフェア探査開発計画(Dynamics and Evolution of the Lithosphere Project)の略称。1980年代の計画。
- EDR
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地震データレポート(Earthquake Data Report)の略称で、再決定震源要素のほかに各地の観測データを加えたもので、NEICが公表しています。1990年以降のデータは、ホームページで公開されています。
- FDSN
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広帯域ディジタル地震観測網連合(Federation of Digital broad-band Seismograph Network)の略称で、1980年年代後半にグローバル地震学の台頭に伴い、国際協力の必要性からIUGGの下部機構として組織されました。IRIS,GEOSCOPE,ORFEUS,CANDIS,CDSN,GBRN等々が参加しています。ただ,これらの全ての観測点が含まれるのではなくて、広帯域観測(たとえば0.2〜360s)、3成分観測,ダイナミックレンジが100db以上あることなどを条件に選ばれています。
- GBRN
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German Broadband Regional Networkの略称。ドイツのディジタル地震観測網。
- GDP
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国際地球内部ダイナミックス計画(Geodynamics Project)の略称。1970年代の国際協力研究計画。
- GEONET(GPS連続観測システム)
-
GPS Earth Observation Network System の略で、国土地理院によって行われている電子基準点(約1200カ所)を用いた全国地殻変動観測システム。
ホームページは−−>ここです。
- GEOSCOPE
-
GEOSCOPE:GEO(地球)とSCOPE(を見る器機)を合わせた造語。フランスが組織したもので.名古屋大学の犬山観測点はこのグループに属しています。ホームページは−−>ここです。
- GPS
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汎地球測位システム(Global Positioning System)の略称。
地上約20,000kmの高度を航行するGPS衛星からの電波を地上で受信し、3次元的位置と時刻を正確に計測するシステム。地殻変動計測には干渉測位と呼ばれる搬送波位相を用いた相対測位法が用いられています。GPSは、地盤の水平・上下変動を同時に観測することができ、一見万能のように思えますが、衛星の軌道誤差や衛星−地上間の大気の影響などを受けます。実際の地盤の水平・上下変動を取り出すためには、GPSデータをいろいろな手法により解析することによって、これらの誤差要因を除去・軽減することが必要です。GPSデータの解析には、このような誤差の除去・軽減のプロセスが必須です。
国土地理院のGPSデータは−−>ここです。
- GTSN
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Global Telemetered Seismograph Networkの略称。主に南半球(アフリカ,南アメリカ)に展開されていて、米国地質調査所がサポートしています。
- HGLP
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高感度長周期(High-Gain Long-Period)の略称で、1960年代終わりから1970年代初めにかけて,当観測室を含め、世界に11ヶ所展開されました。このシステムがディジタル収録の始まりでした。
- IASPEI
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国際地震学地球内部物理学協会(International Asociation of Seismology and Physics of the Earth's Interior)の略称。ホームページはーー>ここ。
地震学および地球内部物理学の国際組織で、2年毎に総会を開いています。2005年はチリのサンチアゴで開かれました。日本では学術会議の中の地震学研究連絡委員会が対応しています。このアジア・オセアニア版としてアジア地震委員会(ASC: Asian Seismological Commission)があります。2006年には、タイのバンコクで総会が開催されます。
- IAVCEI
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国際火山学地球内部化学協会(International Asociation of Volcanology and Chemistry of the Earth's Interior)の略称。ホームページはーー>ここ。
火山学および地球化学の国際組織。
- ICG/ITSU
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太平洋津波警報組織国際調整グループ(International Coordination Group for the Tsunami Warning System in the Pacific)の略称。
2005年ICG/PTWSと改称されました。
- ICG/PTWS
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太平洋津波警戒・減災システム政府間調整グループ(The Intergovernmental Coordination Group for the Pacific Tsunami Warning and Mitigation System)の略称。
それまで太平洋津波警報組織国際調整グループ(ICG/ITSU)と呼ばれていた組織が、インド洋津波警戒・減災システム政府間調整グループ(ICG/IOTWS)が生まれたため、それに倣って2005年にこのように改称されました。
ホームページはーー>ここです。
- IGY
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国際地球観測年(International Geophysical Year)の略称。
1957〜1958年に気象、地磁気、極光、大気光、電離層、太陽活動宇宙線、緯度、経度、氷河、海洋、ロケット・人工衛星、地震、重力、大気放射能を観測対象に実施された国際的な共同観測です。当室も地震部門で参加しました。
- IOC
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有名な国際オリンピック委員会(International Olympic Committee)と同じ略称ですが、全然関係なくて国際海洋委員会(Intergovernmental Oceanographic Commission)の略称。ユネスコの1機関として1960年に設立されました。
ホームページは−−>ここ(IOC)です。
- IRIS(アイリス)
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国際的な地震観測網でThe Incorporated Research Institutions for Seismologyの略称。日本の観測点としては当室(MAJO)と北海道大学襟裳観測点(ERM)の2カ所。
IRIS(アイリス)のホームページです。
- ISC(国際地震センター)
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国際地震センター(The International Seismological Centre)の略称。
現在は、英国バ−クシャー州タッチアムに本部があります。1964年に英国エジンバラ(Edinburgh)で設立されました。それまでISS(The International Seismological Summary)が行っていた世界の地震データを収集し、世界の震源カタログとP,Sなどの着震時データ、震幅データなどをまとめた観測報告を出版する事業を拡充、継続しています。
ホームページは−−>ここ(ISC)です。
- ISS(国際地震集報/輯報)
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国際地震集報(The International Seismological Summary)の略称で、「輯報」とも書かれます。
ISCの前身で、1917年から英国のキュウ観測所が、世界の地震データを収集し、世界の震源カタログとP,Sなどの着震時データ、震幅データなどをまとめた観測報告を1963年まで出版していました。
1913年から1916年までは、ISSではなく、British Association for the Adbancement of Science, Seismological Committee として観測報告が出版されていました。
- ITIC(国際津波情報センター)
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NOAA(米国海洋大気庁)の下部組織の国際津波情報センター(The International Tsunami Information Centre)の略称です。
ホームページは、−>ここです。
- IUGG
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国際測地学地球物理学連合(International Union of Geodesy and Geophysics)の略称。
1919年測地・地震・気象・地球電磁気・海洋・火山の各独立の国際協会が連合して結成しますた。1922年に陸水分野が加盟。日本では、日本学術会議の中の地球物理学研究連絡委員会が対応しています。2003年札幌で総会が開催されました。
ホームページは、−>ここです。
- K
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マグニチュードの代わりに旧ソ連圏で用いられて来た地震の大きさを表す数値。地震波エネルギーの常用対数をとったもので、値は、0〜16。
- LISS(リス)
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ライブ・インターネット地震サーバー(Live Internet Seismic Server)>の略称。
米国地質調査所(USGS)が運営するインターネットで結ばれた世界地震観測網。地震計センサーは、主にSTS-1型で、約60点設置されている。地震波形データは、20Hzでサンプリングされ、約30秒遅れの準リアルタイム伝送されています。当室で利用している観測点は、下図の地点です。
- MEDNET
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MEDNET:MEDiterranean NETworkの略称。地中海のディジタル地震観測網。
- NEIC
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国家地震情報センター(National Earthquake Information Center)の略称。
米国地質調査所(USGS)に所属し、コロラド州ボルダーにあります。WWSSNの記録の整理、PDE、EDRの発行を担当しています。震源速報も下記のホームページで公開しています。
ここです。
- NSF
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米国科学財団(National Science Foundation)の略称。
1950年に設立され、科学の振興を目的とする行政機関。大学や研究所などにおける自然科学・工学の研究に対する政府予算での助成ならびに国際協力や理工学教育の振興を援助しています。IRISもこの助成金で行われています。
- NOAA(ノア)
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米国海洋大気庁(National Oceanic and Atomospheric Administration)の略称で、商務省所属する機関です。HGLPを当室へ設置した当時の担当庁でした。
ホームページは、−>ここです。
- ORFEUS
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ORFEUS:Observatories and Research Facilities for EUropian Seismologyの略称。
- PDE
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震央速報(Preliminary Determination of Epicenters)の略称。1940年に始められたが、当時はUSCGSが発行を担当していた。震源要素,震度,被害状況など簡単なものです。現在は、NEICが担当し、ホームページで公開されています。週間版(Weekly)と月報版(monthly)があり、月報版が最終版です。mbは、1963年に、Msは、1968年に付記されるようになりました。近年はMwも付記されています。
- PS22
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包括的核実験禁止条約(CTBT,日本は1997年に批准)に基づく核実験の国際監視制度(IMS)の中で、地震波を監視種目とした主要観測所(PS=Primary Station)の一つとして松代のアレイ式観測システムに付けられたコード名です。同条約文書には世界で50箇所の主要観測所が登録されています(PS01〜PS50)。主要観測所は,地震波形データを国際データセンター(IDC,在ウィーン)に常時送信してます。PS22機器の運用は(財)日本気象協会が担当しています。下記の外務省ホームページを参考にして下さい。ホームページは、ここです。
- PTWC(太平洋津波警報センター)
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太平洋津波警報センター(Pacific Tsunami Warning Center)の略称。
NOAA(米国海洋大気庁)の下部組織。太平洋地域で発生する津波に関する情報を太平洋沿岸の加盟国(26カ国、2004年12月現在)へ提供しています。北アメリカ太平洋沿岸についての津波警報は、WC&ATWC(米国西海岸/アラスカ津波警報センター)が発表しており、北西太平洋沿岸についての津波情報は、PTWCと連携して気象庁は2005年3月から発表する予定です。ホームページは、−>ここです。
- QED
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緊急震央速報(Quick Epicenter Determinations)の略称。現在は、NEICが担当し、ホームページで公開されています。震源要素,震度,被害状況など簡単なもので、PDEの週間版(Weekly)が出されるまでの緊急値です。
- S波異方性
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S波は、横波で伝わる方向に対し垂直方向に振動します。この振動する方向によって伝播速度が異なる現象を異方性と言います。例えば、北へ伝わるS波が、東西と上下に振動する成分によって伝わる速度が異なる現象です。
- SAR
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合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar)の略称。
人工衛星や航空機などに搭載されたレーダーの移動により大型アンテナと同等の高い分解能を実現したレーダーシステム。2時期のSARデータを干渉させることにより視線方向の感度を向上させる干渉SAR法は地表面の変位を面的にとらえる手法として注目されています。
- SLR
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人工衛星レーザー測距(Satellite Laser Ranging)の略称。
人工衛星に搭載した逆反射プリズム(コーナーキューブ)に対して、地上基地局からレーザー・パルスを発射し、そのパルスの往復時間から衛星までの距離を1cm程度もしくはそれより良い精度で求める技術です。
- SRO
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地震研究観測点網(Seismic Research Observatories)の略称で、世界に13ヶ所設置されました。広帯域ボアホール(broad-band bore hole type)の地震計システムで1974年7月に試作品が稼働。
- STS地震計
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「STS」の由来は、「STreckeisen Seimometer」でWielandとStreckeisenが開発した地震計でforce balanceの変位フィードバック型の長周期地震計で、G. Streckeisen AGという会社の製品です。Wielandtはスイス連邦工科大学地球物理学研究所に属する研究者です。
STS1型の周期は、360秒と20秒に切り換えらますが、ほとんど360秒を使用しています。ダイナミックレンジは140dbで,出力はBRB(BRoad band)とLP(Long Period)の2つがあり、BRBは0.2秒から360秒まで速度振幅に対してフラットで、LPは360秒以上無限大の周期まで加速度振幅に対してフラットな出力特性を持っています。
この地震計の特徴は、上下動が従来のつる巻きバネの代わりにリーフ(葉)スプリングという,幅の広いベルト状の板バネを半円形にして用いている点です。スプリングの形状および固定点については、半円球の原型からスプリングが幾分引き延ばされた形になるよう,系統的におもりとの固定点を十文字の蝶番の外側の方へ移し良い位置と形を得ているそうです。さらに、スプリングを短くし固くすることによって最終的にバネの寄生的な2次振動の最小振動数を80Hzに抑え、おもりがセンターに来たとき復元力が最小となり実質的には自由周期が無限大になるようにすることができています。水平動型の地震計は従来のものと大差はありません。STS-2型は、コンパクトタイプで3成分が一つになった一体型で、固有周期は120秒です。下の写真は、STS1型地震計です。手前の四角い3つの箱はAD変換器でセンサーはガラス容器の中です。ガラス容器の中は空気の流れによる擾乱を避けるため減圧しています。
- UMP
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地球内部開発計画(Upper Mantle Project)の略称。
1962-1970年に上部マントルの諸性質及びその地殻の発展に及ぼす影響の解明を目的としてIUGGの下に組織された国際協同研究計画。当室も参加しました。
- USCGS
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米国沿岸測地局(United States Coast and Geodetic Survey)の略称。米国商務省に所属する機関で、世界標準地震計(WWSS)を当室(当時は、地震観測所)に設置したころの担当局。1967年頃に地震観測の担当はNOAAに移管されました。
- USGS
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米国内務省地質調査所(United States Department of Interior, Geological Survay)の略称。
この機関は、地質調査の他、世界的な地震観測網の建設、維持、データ解析を行っています。1973年に地震観測をNOAAから移管され現在も担当しています。ホームページは下記の所です。世界の震源カタログのほか、震源速報も出しています(−>ここ)。
米国地質調査所
同 アルバカーキ地震研究室(ニューメキシコ州アルバカーキ)
同地震情報センター(コロラド州ボルダ−)
- VLBI
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超長基線電波干渉計(Very Long Baseline Interferometer)の略称。
クエーサー(準恒星状天体)から放射される宇宙電波を数千km離れた複数の観測点で同時に受信し、その到達時間差から観測点間の距離や位置関係を測定する技術です。
- WWSSN(世界標準地震計観測網)
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世界標準地震計観測網(World-Winde Standardized Seismograph Netaork)の略称。
1962年頃から観測点の展開が開始されました。最盛期には世界に126点展開されていました。日本では、当室(観測点コードMAT)と広島にある東京大学地震研究所広島地震観測所(旧名称は白木地震観測所:観測点コードSHK)に置かれました。標準地震計は、短周期がベニオフ地震計、長周期がプレス・ユーイング型地震計でした。設置・運営は、USCGS→NOAA→USGSと引き継がれ、NEICが記録の管理を担当しています。経緯は、1950年代末に米国がソ連の核実験を探知するために立てたベラ計画(VELA計画)のうちの一つの地下核実験探知計画(VELA UNIFORM計画)によって展開されました。このベラユニフォーム計画は、WWSSN以外にアレー観測網の展開および基本的な地震学研究の援助まで含む膨大な計画で、アメリカの地震学者の急増と地震学の格段の進歩をもたらした。
手前の二つが、長周期水平動センサー(水平振子)、その右にあるのが長周期上下動センサー、奥の物が短周期ベニオフ地震計で、縦長いものが上下動センサーです。
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