気象庁震源カタログ中の位置のおかしな震源

(2023/3/1 更新)


図1:気象庁一元化震源の深さ150kmから200qまでのM3以上の震源分布。 パラメータを示した震源は深発地震面から遠く離れている。 この地震は元北海道大学の高波鐵夫さんが見つけて「おかしい」と問い合わせてこられた二つの地震のうちの一つ。
問い合わせてこられたのは下記の2つ。
1934/10/06 10:44 41.8167 143.7073 143km M5.2
1943/04/30 00:24 43.163 147.066 194km M6.6(上図に示した)
しかし、これらは2001年の気象庁震源カタログでは深発地震面に含まれる位置だった。 どうもその後、震源の決めなおし作業が行われ、改悪されたようだ。


図2:深さ130〜150qの震源分布。 今の震源カタログを調べてみると深発地震面からはずれた震源が結構ある。 これが事実なら大発見だが、本当か?


図3:北海道付近の深さ200qまでの震源分布図。


図4:図3枠内の震源の断面図。右側が北西(B)側。深発地震面からはずれた震源が結構ある。


図5:深発地震面からはずれた震源位置(現在の震源カタログ)を昔の震源カタログ(2001年)の位置と対比した。 矢じりが昔のカタログの位置で、矢先が現在のカタログの位置。 青色が深くなる場合で、赤色が浅くなる場合。どう見ても昔の位置の方が良かった。


図6:図5の枠内の震源の断面図。右側が北西(B)側。


図7:図6を図4に重ねてみた。 現在のカタログで深発地震帯からはずれた震源位置のものは、昔のカタログだと深発地震帯に含まれていた。 改悪された。


図8:1948年6月15日の紀伊半島の地震。 2001年の震源カタログでは和歌山県内陸部(×印)に決まっているが、今のカタログでは余震群から離れた沿岸部海域に決まっている。 2021/12/3 M5.4紀伊水道の地震の直後に津村さんが当時の予知課長などに指摘したが、いまだに修正されていない。 詳しくは



図9:1936年7月3日朝鮮半島南部の地震。半島内の震源は昔の震源位置(2001年震源カタログではない)で、東海岸の震源は現在のカタログのもの。 下図の震度分布図は朝鮮総督府観測所(1938)より。下記のように何年も前に指摘したが、直っていない。
石川有三,2018,地震観測点が少ない時代の震源決定の問題―1936年慶尚南道智異山(Chirisan)地震を例にして―,情報地質,Vol.29,No.4,p137-140.


図10:1923年9月1日茨城県南部のM6.0地震。
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