1941年長沼地震(現在の長野市北東部)


1941年7月15日(昭和16年)23時45分頃(M6.1)。死者5
震源要素:45分26.8秒 東経138°11.81’ 北緯36°39.21’ 深さ5.3km マグニチュード6.1(気象庁)

前震:2時間前の21時45分頃に長野で弱震を感じた。
震源要素:45分32.2秒 東経138°14.27’ 北緯36°43.03’ 深さ19km マグニチュード3.7(気象庁)

「気象要覧の記事」
地震分類:顕、 震央:長野市付近  東経138°16’ 北緯36°42'
中部地方・関東地方の大部分及び東北地方。近畿地方の一部で有感、地震は左程大規模なものではなかったが、震源が極めて地表に近く局部的に震動の強烈な處を生じた。長野市北東郊外の長沼村、古里村、神郷村、若槻村、浅川村等で合計死者5名、重傷者3名、住家全壊29、半壊115、非住家全壊48、半壊122等を生じた。地震後小規模の余震が多数起った。

15日23時45分頃長野市北東郊外に起った顕著地震は震源が極めて地表に近く、局部的に震動が強烈で死者5名、全壊住家29、非住家48等の被害を生じた。又此の地震に伴って多数の余震が発生し、7月中の余震回数は有感70回、無感364回で合計434回に達した。

長沼地震の震度分布(最大震度6)。

各地の震度
烈震
;長野
強震 ;(松本区内)大町、砥川、(高田区内)南鯖石、関川
中震 ;軽井沢、(金沢区内)和倉、倶利加羅、上諏訪、宗賀、好井
弱震 ;松本、高田、甲府、飯田、輪島、船津、(甲府区内)宮本、(金沢区内)七尾、(富山区内)高岡、石動、(高田区内)柏崎、砂場、青柳、天水越、安塚、瀉、能生、赤倉、(岐阜区内)平湯、(新潟区内)湯沢、小千谷、三条、塚山、出雲崎、五泉、森、津川、菅谷、巻、富谷、寺泊、新発田、中条、大刈谷、浅貝、栃尾又、入広瀬、(松本区内)大正池、豊科、信濃坂、神城、北城、南小谷、中土、富士見、北山、川岸、霧ヶ峰、朝日、入山辺、安曇、坂井、(前橋区内)五料、伊勢崎
軽震 ;熊谷、宇都宮、新潟、柿岡、名古屋、水戸、彦根、(福島区内)田島、(金沢区内)能登部、(富山区内)宇奈月、小屋平、(高田区内)鉢崎、赤倉、(福井区内)勝山、(山形区内)大谷、小国本、(津区内)四日市、(熊谷区内)、本庄、秩父、三峰山、(水戸区内)結城、(名古屋区内)豊浜、(新潟区内)村山、赤谷、小出、長岡、栃尾、(甲府区内)貢川、(松本区内)葛、会田、(前橋区内)沼田
微震 ;前橋、伏木、相川、金沢、筑波山、東京、三島、静岡、御前崎、津、宮古、白河、(山形区内)貫見、米沢、(熊谷区内)中津川、(富崎区内)館山、(名古屋区内)坂下、挙母、稲橋、(浜松区内)二俣、(横浜区内)大山、(前橋区内)下仁田
有感 ;浜松、富山、岐阜、(宇都宮区内)今市、(松本区内)池田、平


被害写真
深さ1m以上もの地割れが生じたリンゴ畑(深瀬武比古氏撮影)。

倒壊のおそれから、一時的に補修して使用したが不可能で、立て直しとなった当時の長沼小学校(深瀬武比古氏撮影)(注:建て直し前の状態と思われる)。

赤沼東組で砂を噴出した地割れ(永田康一氏撮影)。


浅川村西条の被害(中央気象台,1941)。


古里村三才の共同荷造場の被害(中央気象台,1941)。


死傷者数(中央気象台,1941)

被害家屋数(中央気象台,1941)

地震回数(7月)(中央気象台,1941)


リンク
長沼地震(地団研長野支部)


参考文献
気象要覧、1941年7月号:気、気研、
中央気象台,1941,昭和16年7月15日長野強震調査概報,中央気象台,19pp:セ.
矢橋徳太郎,1941,昭和16年7月15日長野地方強震調査概報,地震,13巻,p259-272:松代.
岸上冬彦,1941,昭和16年7月15日長野地震の調査,地震,13巻,p338-348:松代.
岸上冬彦・永田武・宮村摂三,1941,昭和16年7月15日長野地震の統計的調査,地震研究所彙報,19巻,4号,p628-646:松代.
金井清,1941,昭和16年7月15日長野地震の家屋被害に就いて,地震研究所彙報,19巻,4号,p647-660:松代.
斎田時太郎,1941,善光寺平に於ける民家構造の特異性と震害,地震研究所彙報,19巻,4号,p661-670:松代.
正務章,1942,昭和16年7月15日長野強震調査報告,験震時報,12,p153-161:松代.
豊野町村史刊行会,1960,1941年長沼地震,豊野町史,p38.:セ
豊田村史刊行会,1968,1941年長沼地震,豊田村史,p29-40.:セ
長沼村史刊行会,1975,1941年長沼地震,長沼村史,p104-105.:セ
防犯信州社・長野県防犯協会連合会,1983,長野県の地震,「防犯信州」,1113-1115号(8月25、9月5日、9月15日、写真は深瀬武比古):セ
長澤要,1995,長沼地震−墓石の転倒と家屋の被害状況−,長野郷土史研究会「長野」,182号,p46-48:セ

長野県防災会議,1978,長野県における被害地震の記録,40pp:松代、セ
国立防災科学技術センター,1987,長野県における被害地震史料集,防災科学技術研究資料 第119号,243pp:セ,松代
長野地方気象台,1988,長野県の地震,14pp:地台,セ,松代
長野地方気象台,1996,長野県の地震(第二版),14pp:地台,セ,松代
長野地方気象台,2001,長野県の地震(第三版),18pp:地台,セ,松代


文献最後の項は、どこに所蔵されているかを示しています。
地台:長野地方気象台
セ:松代地震センター(TEL 026-278-2825)
松代:気象庁精密地震観測室(TEL 026-278-2235)
気:気象庁図書
軽:軽井沢測候所
気研:気象研究所

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